滋賀県の建設業者向け:経営事項審査(経審)
Contents
報酬一覧
経審概略
- 公共工事を直請する建設業者の必須審査
- 審査必須の理由:税金を使う為
- 公共工事入札参加資格の内の1つ
- 根拠法令
- 経審の結果、総合評価値(P点)が通知される
- 有効期間:審査基準日(決算日)から1年7ヶ月
- スケジュールの通り、審査基準日から7ヶ月程掛かるため
- 有効期間:審査基準日(決算日)から1年7ヶ月
- P点事に等級・順位の格付け、発注金額割振り、グループ分け
- 手数料
- 1業種:11,000円
- 2業種:13,500円
- 3業種:16,000円
- 以降、1業種+2,500円追加
- 経審結果はWEB上で公表される
- 次は各自治体の入札参加資格申請へ
P点(総合評定値)
P点の算出式
P = 0.25(X1) + 0.15(X2) + 0.20(Y) + 0.25(Z) + 0.15(W)
指標の内訳
-
X1: 完成工事高、 25%
- 業種別の工事金額を評価
-
X2: 自己資本額及び平均利益額、 15%
- 自己資本額:資産総額から負債総額を引いた金額
- 平均利益額:利払前税引前償却前利益の額
-
Y: 経営状況、 25%
- 純支払利息比率
- 負債回転期間
- 総資本売上総利益率
- 売上高経常利益率
- 自己資本対固定資産比率
- 自己資本比率
- 営業キャッシュフロー
- 利益剰余金
-
Z: 技術力、 15%
- 技術職員数
- 元請完成工事高
-
W: その他の審査項目(社会性等)、 20%
- 労働福祉の状況
- 建設業の営業継続の状況
- 防災活動への貢献の状況
- 法令遵守の状況
- 建設業の経理の状況
- 研究開発費の状況
- 建設機械の保有状況
- ISO登録の状況
- 若年の技術者および技能労働者の育成及び確保の状況
必要書類
申請書類
- 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
- 工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高
- 技術職員名簿
- 実務経験経歴書
- その他の審査項目(社会性等)
- 建設機械の保有状況一覧表
- CPD 単位を取得した技術職員名簿
- 技能者名簿
- 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置を実施したことを誓約する書面
添付書類
- 経営状況分析結果通知書
- 役員等の一覧
- 勤務実態証明書
- 完成工事高詳細計算表
確認書類
- 決算変更届
- 変更届出書(決算)表紙
完成工事高
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- ※税抜きで作成、理由は評価基準を統一の為
- 工事種類別完成工事高付表
- 前回申請分の経営事項審査結果通知書の写し
- 前回申請分の経営事項審査申請書等の控えの写し
- 申請書類・添付書類と同じ
- 消費税確定申告書+添付書類
- 完成工事高の実績確認書類
技術職員名簿
- 技術職員名簿記載技術職員の常勤性確認書類
- 技術職員名簿に記載している者に係る検定又は試験の合格証その他の当該職員が有する資格に係る書面
その他の審査項目
- 雇用保険の加入に関する確認書類
- 健康保険および厚生年金保険の加入に関する確認書類
- 建設業退職金共済事業加入・履行証明書の写し
- 退職一時金制度又は企業年金制度に係る書面
- 法定外労働災害補償制度の加入に係る書面
- CPD 単位取得数および技能レベル向上者数に係る書類
- 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定の状況が分かるもの
- 次世代育成支援対策推進法に基づく認定の状況が分かるもの
- 青少年の雇用の促進等に関する法律に基づく認定の状況が分かるもの
- 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況が分かるもの
- 審査対象営業年度に再生手続又は再生手続きの開始又は終結の決定を受けた場合に係る書面
- 防災協定を締結している場合の書類
- 監査に係る証明がある場合の書類
- 公認会計士、税理士、1級・2級登録経理試験合格者に係る書面
- 研究開発費に係る書面
- 国または国際標準化機構が定めた規格による認証または登録の状況
機械一覧
- 建設機械の保有状況に関する書類
税抜きする理由、評価基準を統一の為
税込みで1000売り上げた場合の仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
完成工事未収入金 | 1,000 | 完成工事高 | 1,000 |
税抜きで1000売り上げた場合の仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
完成工事未収入金 | 1,000 | 完成工事高 | 909 |
仮受消費税 | 91 |
年間スケジュール
- 決算(審査基準日)
- 決算から2ヶ月後まで確定申告
- 決算から4ヶ月後まで
- 経営状況分析申告
- 修正・補正の可能性
- 約1週間程度で経営状況分析結果通知書(Y点)が届く
- 決算変更届
- 未提出の場合、経審不可※法令違反
- 経営事項審査の予約
- 経営状況分析申告
- 決算から5・6ヶ月後
- 7ヶ月後、経営規模等評価結果通知書取得
- 経審完了後、会社宛てに1ヶ月程で郵送で届く
経営状況分析
経営状況分析機関
登録番号 | 機関の名称 |
---|---|
1 | (一財)建設業情報管理センター |
2 | (株)マネージメント・データ・リサーチ |
4 | ワイズ公共データシステム(株) |
5 | (株)九州経営情報分析センター |
7 | (株)北海道経営情報センター |
8 | (株)ネットコア |
9 | (株)経営状況分析センター |
10 | 経営状況分析センター西日本(株) |
11 | (株)NKB |
22 | (株)建設業経営情報分析センター |
経営状況分析に必要な書類
- 経営状況分析申請書
- 建設業法用財務諸表※初回3年分
- 税務申告書(別表16{1,2})
- 建設業許可通知書の写し
経営状況分析の8指標
負債抵抗力
-
純支払利息比率(X1)
- 算出式:(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100
- 評価:数値が低いほど良い
-
負債回転期間(X2)
- 算出式:負債合計÷(売上高÷12)
- 評価:数値が小さいほど良い
収益性効率性
-
総資本売上総利益率(X3)
- 算出式:売上総利益÷総資本(2期平均)×100
- 評価:数値が大きいほど良い
-
売上高経常利益率(X4)
- 算出式:経常利益÷売上高×100
- 評価:数値が大きいほど良い
財務健全性
-
自己資本対固定資産比率(X5)
- 算出式:自己資本÷固定資産×100
- 評価:数値が大きいほど良い
-
自己資本比率(X6)
- 算出式:自己資本÷総資本×100
- 評価:数値が大きいほど良い
絶対的力量
-
営業キャッシュフロー(X7)
- 算出式:営業キャッシュフロー(2期平均)÷1億
- 評価:数値が大きいほど良い
-
利益剰余金(X8)
- 算出式:利益剰余金÷1億
- 評価:数値が大きいほど良い
技術職員名簿
適用事業所(法人or5人以上個人)
法人代表(家族)・役員
社会保険(OR)
- 社会保険証
- 退職後、5日以内に会社が年金事務所へ届ける
- 提出可能=所属の証明となる
- 退職後、5日以内に会社が年金事務所へ届ける
- 被保険者標準報酬決定通知書
雇用労働者・使用人兼務役員・役員の家族(AND)
社会保険(OR)
- 社会保険証
- 標準報酬決定通知書
雇用保険
- 資格取得日有り(OR)
- 被保険者証
- 事業所別被保険者台帳照会
- ハローワークへ窓口請求し、その場で貰う
補足:使用人兼務役員とは(AND)
- 代表権無し
- 就業規則で労働管理されている
- 社員賃金>役員報酬
高齢者
70歳以上の場合
- 厚生年金の加入義務は無し
- 「厚生年金保険70歳以上被用者該当及び標準報酬月額相当額のお知らせ」の写し
- 70歳の社員在籍で毎年届く
- 「厚生年金保険70歳以上被用者該当及び標準報酬月額相当額のお知らせ」の写し
- 健康保険は加入義務は有り
- 社会保険証(OR)標準報酬決定通知書
75歳以上の場合
- 後期高齢者医療保険に切り替わり、会社名が不記載
- 「厚生年金保険70歳以上被用者該当及び標準報酬月額相当額のお知らせ」の写し
非適用事業所(4人以上個人)
個人事業主・専従者(OR)
賃金台帳など以下のいずれか + 最低賃金以上
- 源泉徴収簿
- 給与報酬から所得税の源泉徴収を記録する書類
- 賃金台帳
- 従業員の勤務時間や給与支払の詳細記録書類
- 出勤簿
- 出勤簿は、個人事業主の日々の勤務状況を記録書類
補足:専従者とは
- 生計を一にしている(OR)
- 配偶者
- 15歳以上の親族従業員
雇用労働者
雇用保険
- 資格取得日有り(OR)
- 被保険者証
- 事業所別被保険者台帳照会
二以上事業所勤務被保険者
概要
-
定義:
- 2つ以上の適用事業所で同時に勤務し、各事業所で社会保険の加入要件を満たす労働者
-
手続きの必要性:
- 該当する労働者は、主たる事業所を選択し「二以上事業所勤務届」を提出する必要がある
- 届出は事実発生から10日以内に行う必要がある
-
保険料の取り扱い:
- 各事業所での報酬を合算して標準報酬月額を決定
- 決定した標準報酬月額による保険料を各事業所の報酬に応じて按分
-
健康保険証:
- 選択した主たる事業所の健康保険証のみが発行され、使用可能
対象となるケース
- 社会保険適用あり労働者 + 法人の代表取締役(役員報酬あり)
- 社会保険適用あり労働者 + 社会保険適用あり労働者(兼業の場合)
- 法人の代表取締役(役員報酬あり) + 法人の代表取締役(役員報酬あり)
注意点
- 雇用保険や扶養控除等申告書の提出は、主たる給与の事業所のみで行う
- 労働時間管理に注意が必要(複数事業所での勤務で残業時間が増加する可能性)
- 社会保険の適用拡大により、対象となるケースが増加傾向にある
未提出のリスク
- 適切な保険料徴収ができない
- 最大過去2年間遡って保険料を徴収される可能性
- 企業に対して罰則(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)のリスク
二以上事業所勤務被保険者制度は、複数の事業所で勤務する労働者の社会保険を適切に管理するための重要な仕組みです。労働者と企業の双方が制度を理解し、適切に手続きを行うことが求められます。
二以上事業所勤務被保険者
経営事項審査に関する主なポイント
定義と対象
- 二以上事業所勤務被保険者とは、複数の適用事業所で同時に勤務し、それぞれの事業所で社会保険の加入要件を満たしている労働者のことを指します。
経営事項審査での取り扱い
- 経営事項審査の技術職員名簿に記載する際は、二以上事業所勤務被保険者についても、6ヶ月を超える恒常的雇用関係があることを証明する必要があります。
必要な証明書類
- 二以上事業所勤務被保険者決定及び標準報酬決定通知書の写しが必要となります。
- その他、通常の雇用関係を証明する書類(健康保険証、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書など)も併せて必要です。
注意点
- 二以上事業所勤務被保険者の場合、事業所ごとの報酬額の比率など総合的に判断して主たる事業所を決定します。
- 経営事項審査では、審査基準日(決算日)現在の状況で判断します。
社会保険制度の理解と周知
- 会社は二以上事業所勤務被保険者制度について従業員に説明し、適切な手続きを促す必要があります。
社会保険の適用拡大の影響
- 近年の社会保険適用拡大により、二以上事業所勤務被保険者に該当するケースが増加しています。2024年10月にも更なる適用拡大が予定されているため、注意が必要です。
経営事項審査において二以上事業所勤務被保険者を技術職員として評価する際は、上記のポイントに留意し、適切な証明書類を準備することが重要です。また、社会保険制度の変更に伴い、対象となる従業員が増加する可能性があるため、最新の制度を把握しておくことが求められます。
雇用保険
法人の代表取締役の家族
- 加入出来ない
- 理由
- 事業主との関係が密接であり、純粋な雇用関係にあるかどうかが不明確
- 代表取締役との関係から解雇されるリスクが極めて低い
- 代表取締役の親族を被保険者とすることで、雇用保険制度が不当に利用される可能性が高い
- 理由
- 例外で以下のときは加入可能
- 事業主の指揮命令下
- 就労の実態が他労働者と同様
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等
- 賃金関係
- 役員等でないこと
法人の取締役の家族
- 加入出来る
- 理由
- 一般の取締役の親族は、相対的に労働者性が認められやすい立場にある
- 取締役の親族は、相対的に失業のリスクが高い
- 一般の取締役の親族の場合、そのリスクは相対的に低い
- 理由
消費税確定申告書の構成
第1表
第1表は消費税及び地方消費税の申告書の主要部分です。この表には以下の重要な情報が含まれます:
- 課税標準額
- 消費税額
- 控除対象仕入税額
- 納付税額または還付税額
第1表は申告書の要約であり、最終的な納税額または還付額を示す重要な書類です。
第2表
第2表は課税標準額等の内訳書です。この表には以下の詳細情報が記載されます:
- 課税売上高の内訳
- 非課税売上高
- 輸出免税売上高
- 返還等対価に係る税額
- 貸倒れに係る税額
第2表は第1表の数値の詳細な内訳を提供し、課税標準額の計算過程を明確にします。
付表
付表は申告書の補足資料であり、課税標準額や消費税額の詳細な計算過程を示します。主な付表には以下のものがあります:
一般課税方式の場合
- 付表1-3:税率別消費税額計算表兼地方消費税の課税標準となる消費税額計算表
- 付表2-3:課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表
簡易課税方式の場合
- 付表4-3:税率別消費税額計算表兼地方消費税の課税標準となる消費税額計算表
- 付表5-3:控除対象仕入税額等の計算表
これらの付表は、第1表と第2表に記入する数値の計算過程を詳細に示すものです。
違いと役割
- 第1表:申告書の要約であり、最終的な納税額または還付額を示します。
- 第2表:第1表の数値の詳細な内訳を提供し、課税標準額の計算過程を明確にします。
- 付表:消費税額や控除対象仕入税額の詳細な計算過程を示し、第1表と第2表の数値の根拠となります。
課税標準額
課税標準額は、納めるべき消費税額を計算するための基礎となる金額
- 課税取引の売上高の税抜き額
- 含む
- 課税取引
- 含まない
- 免税取引(輸出等)
- 非課税取引
- 不課税取引
- 消費税額計算の基礎となる
課税標準額と課税売上高の違い
- 課税標準額には免税取引を含めない
- 課税売上高には免税取引を含めめる
完成工事高
- 定義
- 建設工事をしたことで得られる工事の売上高
- 建設工事の請負は、課税資産の譲渡等に該当し、必ず課税取引
- 補足
- 建設工事以外の売上は兼業売上高となる
- 不動産の販売や賃貸
- 建設資材の販売など
- 課税、免税、非課税、不課税取引が該当
- 兼業の課税取引の存在により、課税標準額と完成工事高の不一致が生じる
- 建設工事以外の売上は兼業売上高となる
通常:課税標準額 > 完成工事高 仮に、完成工事高 > 課税標準額 の場合、高評価を受けるための粉飾決算と疑われる。
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