公正証書遺言
Contents
公証人とは
- 法務大臣任命の国家公務員
- 但し、法律に基づく手数料が収入源であり、個人事業主的
- 制限で相談料は取れない
- 大半は司法試験合格者した判事、刑事出身
- 原則、公証役場で執務、本人の意思が重要な遺言・後見等のみ出張あり
遺言とは
概要
- 遺言書の死亡と共に一定の効果を発生させる
- 遺言は法律で定められた事項(法定遺言事項)
目的
- 自身の財産を有効・有意義な活用のため
- 実質的に公平な相続の実現
- 親の面倒をみた者を手厚く相続させるなど
- 揉めやすい遺産分割協議を避ける為
3つの方式
自筆証書遺言
- 自身で自署する遺言
- 財産目録は自署以外も可
- 法的な不備があると、無効になる
作成方法
- 筆記用具について特に制限を設けていない
- 極論、鉛筆でも書けるが実務上しない
- 長期間保管されることを考慮した筆記用具を用いる
- 訂正方法
- 民法968条で厳格に規定
- 法定の方式に従わないと訂正が無効になるリスク
- 実務上は書き間違った場合は新たに書き直す
- 書き直す事が困難な量の遺言の場合、公正証書を選ぶ
メリット
- 公正証書遺言作成は時間が掛かる為の不慮の事態のバックアップ
公正証書遺言
- 証人2人以上立会のもと、公証人に口授
- 公証人が文章にまとめる
- 遺言者、証人、公証人が署名押印し完成
秘密証書遺言
- 遺言の存在と内容を秘密にする形式
- 法的な不備があると、無効になる
遺言の構成
法定遺言事項
相続に関すること
- 相続分の指定や第三者への委託
- 遺産分割の方法の指定
- 担保責任の範囲指定
- 遺留分侵害額請求の順序や割合指定
- 特別受益持ち戻しの免除
遺産の処分に関すること
- 遺贈(被相続人の財産を無償で他人に与えること)
- 寄付
- 一般財団法人の設立
- 信託先の決定
- 生命保険の受取人変更
- 祭祀財産の継承者の指定
身分に関すること
- 子の認知(婚外子を自分の子と認めること)
- 未成年後見人・未成年後見監督人の選任
- 相続人の廃除(虐待や重大な侮辱を加えた相続人から相続権を奪うこと)
- 相続人の廃除の取消し
遺言執行に関すること
- 遺言執行者の指定または指定の委任
- 遺言執行者の報酬の定め
法定外遺言事項(付言事項)
- 遺言の動機
- 文字通りの遺言
注意事項
- 共同遺言は不可(撤回が困難になるため)
法定相続分・遺留分
相続人
- 配偶者
- 子(第一順位)
- 直系尊属(第二順位)
- 兄弟姉妹(第三順位)
- 代襲相続
法定相続分の一覧表
相続人の組み合わせ | 法定相続分 |
---|---|
配偶者のみ | 配偶者:全部 |
子のみ | 子:全部 |
親のみ | 親:全部 |
兄弟姉妹のみ | 兄弟姉妹:全部 |
配偶者+子 | 配偶者:1/2、子:1/2 |
配偶者+親 | 配偶者:2/3、親:1/3 |
配偶者+兄弟姉妹 | 配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4 |
相続に関する3つの放棄
項目 | 相続放棄 | 相続分の放棄 | 遺留分の放棄 |
---|---|---|---|
意味 | 相続財産(プラス・マイナス含む)の一切を引き継がないこと | 遺産に対する共有持分権を放棄すること | 遺留分を請求する権利を手放すこと |
手続き方法 | 家庭裁判所への申述が必要 | 方式は問われず、調停期日での申述や書面提出など | 家庭裁判所の承認が必要 |
期限 | 相続開始を知ってから3ヶ月以内 | 時期の制限なし | 生前でも可能 |
債務の扱い | 相続しない | 債務負担を免れない可能性あり | 相続債務は影響なし |
相続人の地位 | 初めから相続人ではなかったものとみなされる | 相続人の地位は維持される | 相続人の地位は維持される |
他の相続人への影響 | 他の相続人の相続分が増える | 原則として他の相続人が元の割合で取得 | 他の相続人の遺留分は変わらない |
撤回 | 不可能 | 可能 | 家庭裁判所の承認後は不可能 |
公正証書遺言の手数料比較表
財産価額 | 公証役場で作成 | 公証人が出張 |
---|---|---|
100万円以下 | 5,000円+11,000円 | 5,000円×1.5+11,000円+日当+交通費 |
500万円以下 | 11,000円+11,000円 | 11,000円×1.5+11,000円+日当+交通費 |
1,000万円以下 | 17,000円+11,000円 | 17,000円×1.5+11,000円+日当+交通費 |
3,000万円以下 | 23,000円+11,000円 | 23,000円×1.5+11,000円+日当+交通費 |
5,000万円以下 | 29,000円+11,000円 | 29,000円×1.5+11,000円+日当+交通費 |
1億円以下 | 43,000円+11,000円 | 43,000円×1.5+11,000円+日当+交通費 |
※共通費用:正本・謄本代(1枚250円)、原本4枚超過分(1枚250円)
※日当:4時間以内10,000円、1日20,000円
※交通費:実費
必要書類
- 遺言者本人確認
- 相続相手特定書類
- 不動産特定・手数料算定資料
全体の流れ
flowchart TD subgraph s1["面談"] direction LR A1("説明") A2("聴き取り") A3("ロードマップ提示") A4("見積提示") A5("契約") A6("必要書類の提示・請求") A["面談"] end subgraph s2["基礎調査※オプション"] direction LR B1("推定相続人調査") B2("財産調査") end subgraph s3["自筆証書遺言の作成"] direction LR C1a("必要書類の収集") C1b("文案の作成") C1c("文案の提示") C1d("遺言書の作成(自書・押印)") C1e("遺言書のチェック") C1["自筆証書遺言の作成"] end subgraph s4["公正証書遺言の作成"] direction LR C2a("必要書類の収集") C2b("文案の作成") C2c("公証役場に予約") C2d("公証人と打合せ") C2e("公証人から文案・費用提示") C2f("依頼者へ文案提示") C2g("公証役場で作成") C2["公正証書遺言の作成"] end subgraph s5["遺言書作成"] direction TB s3 s4 end A --> A1 C1 --> C1a C2 --> C2a D["納品・費用の清算"] --> E["アフターフォロー"] A1 --> A2 A2 --> A3 A3 --> A4 A4 --> A5 A5 --> A6 B1 --- B2 C1a --> C1b C1b --> C1c C1c --> C1d C1d --> C1e C2a --> C2b C2b --> C2c C2c --> C2d C2d --> C2e C2e --> C2f C2f --> C2g s1 --> s2 s2 --> s5 s5 --> D s3 --> s4
遺言業務
- 「遺言書の文案」の作成
- 「相続関係説明図」の作成
- 「財産目録」の作成
- 戸籍謄本不動産の履歴事項全部証明書等の請求・受領
- 以下の作成に必要
- 相続関係説明図
- 財産目録
- 以下の作成に必要
- 遺留分侵害額請求権
- 請求できるのは、配偶者・子・直系尊属(父母や祖父母)などの遺留分権利者
- 兄弟姉妹には遺留分はない
- 推定相続人の調査
- 広域交付制度法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
- 2024年3月から「広域交付制度」により、本籍地以外の全国どこの市区町村役場でも戸籍謄本等が取得できるようになった
- 取得できるのは、戸籍謄本(全部事項証明書)、除籍謄本、改製原戸籍謄本
- 請求できるのは本人・配偶者・直系尊属(父母など)・直系卑属(子など)
- 兄弟姉妹や代理人は請求できない
- 申請には顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)が必要
- 役所の窓口で申請書を記入し、手数料を支払うとその場で受け取れる
- 郵送や代理人による申請は不可
- 事前に自治体のホームページ等で受付時間や必要書類を確認すると安心
- 広域交付制度法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
重要事項
相続の基本原則
内容項目 | 説明 |
---|---|
相続開始の原因 | 被相続人の死亡によって相続が開始される |
相続人の範囲 | 法律で定められた親族(配偶者・子・親など)が相続人 |
相続財産の範囲と評価 | 被相続人の財産や債務が相続財産となる |
相続分 | 各相続人が取得する財産の割合 |
遺言の自由とその制限
内容項目 | 説明 |
---|---|
遺言自由の原則 | 遺言者は自由に遺言内容を決めることができる |
遺言能力による制限 | 未成年者や意思能力のない者は遺言できない |
遺言方式による制限 | 法律で定められた方式に従わない遺言は無効となる |
公序良俗による制限 | 社会秩序や善良な風俗に反する遺言は無効となる |
遺言の効力発生時
内容項目 | 説明 |
---|---|
遺言の効力発生時 | 遺言者が死亡した時に遺言の効力が生じる |
遺言の撤回
内容項目 | 説明 |
---|---|
遺言の撤回 | 遺言者は生前であればいつでも遺言を撤回できる |
遺言の方式
内容項目 | 説明 |
---|---|
普通の方式による遺言の種類 | 自筆証書・公正証書・秘密証書遺言の3種類がある |
自筆証書遺言 | 遺言者が全文・日付・氏名を自筆し押印する方式 |
検認 | 自筆証書遺言を家庭裁判所で確認する手続き |
公正証書遺言 | 公証人が作成し、証人2人以上の立会いが必要な方式 |
口頭遺言の禁止 | 口頭のみの遺言は法律上認められていない |
遺言事項
内容項目 | 説明 |
---|---|
遺言事項 | 法律で定められた事項のみ遺言で定められる(例:遺産分割方法など) |
その他
内容項目 | 説明 |
---|---|
相続人の欠格事由 | 一定の事情があると相続人資格を失う(例:殺害など) |
寄与分 | 被相続人の財産形成に特別の貢献をした相続人の取り分が増える制度 |
遺言形式の判断方法
flowchart LR A(["相談"]) --> B{"緊急性が
高い"} B -- YES --> C["自筆証書"] B -- NO --> D["公正証書"] D --> n1["健康が不安"] n1 -- YES --> n2["自筆証書
オプション"] n1 -- NO --> n3["公正証書のみ"] n1@{ shape: diam} n2@{ shape: rect} n3@{ shape: rect}
- 公正証書遺言は確実性が高く、後々のトラブル防止に最適ですが、手続きや日程調整に時間が必要。
- 健康状態にご不安がある方や「もしもの時」に備えたい方は、公正証書遺言が完成するまでの“つなぎ”として自筆証書遺言も残しておくと、より安心です。
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