行政書士森永事務所の割とどうでも良いブログ

お客様の気持ちに寄り添うというのも専門業務次第では?

これは、以前自分のサイトで理念を作ろう考えたときにいろいろと他の先生のサイトを参照していて、発見しましたが結構「お客様の気持ちに寄り添う」ことを謳っている先生が多かったです。

私は行政書士として許認可申請を専門としていますし、性格上の問題なのか?遺言書作成や離婚協議書作成など「お客様の気持ちに寄り添う」業務にはなかなか興味を持つことができず(というか苦手意識があり)、実務の勉強をしたところで全く頭に入ってきませんでした(結局、取扱う事すら止めた)。

遺言書作成や離婚協議書作成などに関しては確かにこれといったゴールが無く、「お客様の気持ちに寄り添い」ご納得いただける遺言書や離婚協議書を作るのが、ある種ゴールといって良いかもしれませんし、それなら意味がわかります。

それに比べて許認可申請については、ゴールは明確で「許可が下りる事」です(人の価値観は十人十色なので許可が下りなくてもじっくり話を聞いてくれたら満足する人もいるかもしれませんが)。

許認可申請の許可が下りるっていうのは、「お客様の気持ちに寄り添った結果許可が下りるものか?」というと全然関係ないわけです。

申請要件が整っており、提出書類に問題がなければ、在留資格はともかく、普通の許認可であれば通ります。

申請要件が整っておらず、提出書類に問題があるけどといった場合、お客様の気持ちに寄り添って打ち合わせをしたからといって、許可が下りるかというと、絶対許可なんて下りない訳です。

また、「お客様の気持ちに寄り添う」というのも個人的に大雑把過ぎるのではないかと思います。

例えば、これは実際に私が経験した話ですが、初回の打合せで「多少法律に反することがあったとしても、許可が欲しい(要は虚偽の申請をお願いしたいという意味)」と言われたことがあります。(その言葉を聞いた瞬間に、行政書士倫理第14条「行政書士は、依頼の趣旨が、目的、内容または方法において不正の疑いがある場合には、事件の受任を拒否しなければならない」の旨を伝え、開始早々面談を打ち切ったことがあります。)

その他、よくよく話を聞いてみると、何とかして虚偽の書類を作らせたり、私を経由して虚偽の申請をさせたがっている方もおられました。

その輩は嘘つきなので(まぁ、行政書士にも噓つきはザラにいますが)、原則信じるべきではありませんが多額の借金があるなど、おっしゃっていたので仮にそれが本当であるならば、不正の疑いがあるものの、犯罪に手を染めても仕方がないと思っているほど、本当に追い込まれるなどして困っているかもしれません。

しかし、それはそれこれはこれです。同情的にその人の気持ちに寄り添ってしまっては、こちらも犯罪に手を染めてしまう可能性があります。

そもそも行政書士の使命は「国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献すること」なので、そういった輩の為にがんばって仮に許可を得た所で、不正の目的に使われてしまっては、その人にとっては都合が良いかもしれませんが、その他国民や社会全体にとっては不利益なわけです。

このように「お客様の気持ちに寄り添う」というのは、一見耳障りのいい言葉ですが、中には明確な悪意を持った人もいる以上、 士業のwebサイトのトップページにはこの言葉は似合わないのでは?(寧ろ、その理念のせいで身を滅ぼす可能性さえある)と思うわけです。

まあ、こんな細かい捻くれた思考をブログに書いて公表するような奴はさぞかし世渡りが下手な奴だろうなと、書いてる本人ですら思う訳です。


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