建設中の建物で古物商申請ができるか?


古物商の許可申請には営業所が必要になります。

この営業所というのは建設中でも営業所として申請することはできるでしょうか?

古物営業法改正以前はそもそも提出物として、その建物の登記事項証明書などの登記謄本や当該物件の所在地や所有者が記載された税金を支払った証明書などの「営業所使用する権利を証明する書類」の提出が必要でした。

しかし、古物営業法の改正によって、これらの提出は不要になりました。(滋賀県のように賃貸物件の場合は賃貸借契約書、使用承諾書の提出が求められる場合がありますが)

とは言え、古物営業法には下記のように定められており、許可申請書には営業所の名称及び所在地を記載しないといけません。

(許可の手続及び許可証)
第五条 第三条の規定による許可を受けようとする者は、その主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。この場合において、許可申請書には、国家公安委員会規則で定める書類を添付しなければならない。

 主たる営業所又は古物市場その他の営業所又は古物市場の名称及び所在地

古物営業法 | e-Gov法令検索:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000108

古物営業法には営業所についての明確な定義はありませんが、名称及び所在地を記載となると建物の登記がされていないといけません。

となると、建設中の未完成の建物は登記する要件を満たす建物なのかどうかの問題が生じます。

当然ですが、建物でないのであれば申請書に記載出来ないと判断できるでしょう。

※注意ここから先は土地家屋調査士などの専門の領域であり、行政書士は専門外で内容に誤りがある可能性があります。必ず専門家に確かめて下さい。

建物とは法的に一体どういうものなのかについては不動産登記規則の第111号に書いてあります。

第百十一条 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。

不動産登記規則 | e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417M60000010018

つまり、屋根と壁があって、土地と定着してて、建物がその用途・目的のための機能を果たして初めて建物と認められます。

なお、土地と定着と言いましたが、絶対に動かないとかそういう意味ではなく、あくまでも建物としての永続性があれば良いとのことです。

なぜかというと今でこそ、基礎工事をした上で建物が立つというようになっており常識的に動かないと言えるでしょうが、昔からある建物などは現在の基準からみると(現在のような基礎工事をする技術は当時にはそもそも無かったため)土地と定着してるとは言い難い物もあります。

しかし、実際のところ問題なく建物として扱われているのは、そこまで絶対的な土地との定着までは求められないため、建物として認めて良いらしいです。

次に、その建物がその用途と目的のための機能を果しているかについてですが、建物も色々種類があり、その種類に応じて用途を果たしていると考えて良い時点が異なるようで、一概にしてコレという表現をすることが出来ず、その線引きは専門家(土地家屋調査士など)でないと判断ができないようです。

上記の要件が満たされ、初めて法的に「建物」と認識され、登記することができるようになります。

登記にも表題登記、保存登記の2種類あります。

表題登記とはまだ登記されていない建物や土地について新規で行う登記のことで、完成時にどのような建物で、誰が所有者であるか登記するものです。これは申請義務がある登記で、建物の所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積、所有者の住所・氏名などを登録します。

この表題登記はどこにどのように存在するのかを示す表示に関する登記でしかなく、第三者に権利を主張できるものではありません。主張する為には別に保存登記されていることが必要で、これは土地家屋調査士ではなく、司法書士が登記します。

そして表題登記と保存登記両方とも、所有者欄があります。

上記登記の順序としては、先ずは表題登記をし、次に保存登記を行います。このとき、表題登記の所有者は所有権保存登記が行われると抹消されます。

そのため、表題登記だけで所有権の確認は出来ず、保存登記が必要です。

もちろん、表題登記は義務ですが、保存登記自体は義務でないため、表題登記だけのケースもあります。

この場合保存登記自体は存在しないため、表題登記の所有者欄で誰が建物の所有者なのか判断できるのではと思いますが、親族間や借地の場合で,形式的に名義を貸すといったことがある為、実際の所有者と異なる場合が実在し、後から複数のものが実際の所有者であることを主張して紛争になることがあります。

だいぶ話はそれましたが、古物商の申請自体には提出書類としての登記書類は不要ですが、私が受任する条件として上記記載のような紛争を避けるためにも保存登記されていることが必要と考えています。

古物商許可 行政書士森永事務所

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