古物営業法の範囲と所有権移転について解説!動産と不動産の違いとは?


古物営業法の対象となるモノは動産です。

下記の記事の書きましたが、古物営業法は盗難対策の法律なので、盗難できないようなモノ=不動産は対象とはなりません。

そうは言っても、「中古自動車があるじゃないか、車は不動産だろ?登録もするんだし」という意見もあると思います。

確かに中古自動商を行う場合は古物商許可が必要で、申請する品目にも項目が用意されており、不動産という認識の場合は、古物営業法の対象として不動産も含まれるとなります。

しかし、自動車自体は判例において、不動産に準じて取り扱うとされているだけで、下記の民法の通り、法律上は動産扱いされています。

(不動産及び動産)

第八十六条 土地及びその定着物は、不動産とする。
2 不動産以外の物は、すべて動産とする。

民法 | e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

そしてこの動産の所有権の以前のタイミングは、当事者の意思表示のみによってその効力が生じます。

※所有権とは、物品や不動産などを、自分の物として自由に使用、収益、処分をする権利をいいます。

(物権の設定及び移転)

第百七十六条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

民法 | e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

上記のように、私たちの一般的な感覚と異なり、必ずしもお金や物品のやり取りが未だ行われていなかったとしても、その所有権自体は意思の表示(単に目的物を売ります買いますという合意だけ)で移転することができます。

高額な物など、代金を受け取っていないのにも関わらず、所有権を移転してしまっては安心した取引ができないので、通常の場合売買契約などを締結し、いつまでに支払う、何をしたことを条件に所有権が移転するなどの条件を設定します。

しかし、少額なものでも毎回契約をしないととなると、営業が困難になる業種もあり、わざわざ条件の設定を行わない場合もあります。

その場合は一旦、意思表示をした段階で所有権を移転し、その意思表示の中では所有権を移転する、代金の支払い等の債務がセットになっていますので、債務不履行を理由に売買契約を解除して所有権を取り戻すことになります。

古物営業法では、古物商同士は除いて、古物の売買をする時は必ず営業所もしくは、相手の住民票にある住所・法人の場合は登記簿謄本に記載されている所在地で行う必要があります。(法律用語で上記の場所のことを居所と言います。)

(営業の制限)
第十四条 古物商は、その営業所又は取引の相手方の住所若しくは居所以外の場所において、買い受け、若しくは交換するため、又は売却若しくは交換の委託を受けるため、古物商以外の者から古物を受け取つてはならない。ただし、仮設店舗において古物営業を営む場合において、あらかじめ、その日時及び場所を、その場所を管轄する公安委員会に届け出たときは、この限りでない。

古物営業法 | e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000108

この時、例えば中古自動車商をしており、営業マンが行商として、売り手の所在地に訪問し、現地で査定を行い、営業所を経由せず管理している倉庫に納入したとします。

このような、古物の売買において倉庫に引き渡される運用は許されるのでしょうか?
見方を変えれば、売り手側から見たら倉庫に売ったとも言えます。

しかし、冒頭の民法の説明を読むと分かる通り、先程の第百七十六条だけを考慮し、他を除外して考えた場合、原則合意の意思表示を行った時点で所有権自体は既に移転しており、相手先の所在地から倉庫への移動は売買後の自社内でのオペレーション過ぎないため、古物営業法に制限はありません。

また、駐車場が徒歩十分歩いたところにあり、文字通り所在地での受け取りができない場合のように自分側の倉庫ではなくて相手側の倉庫の場合はどうでしょうか?

この辺りはハッキリと法律で書かれているわけではありませんが、警察に問い合わせたところ(※警察署によって解釈が異なるので必ず確認すること)常識の範囲内の距離において売主が同行し、且つ売主が管理のであれば良いとのことでした。

常識の範囲内の距離というのは、相手の住民票の住所が大阪なのに、車の保管倉庫が北海道であるなど、社会通念上常識の範囲を超えていることを言います。

また喫茶店等で売買もできません。喫茶店はその所有者が管理しているわけではないためです。

さらに細かいことを言うと、行商として相手先の居所で売買契約を結んだとします。

この時点で確かに、所有権の移転は双方は同意している限り、これまでの説明通り移転します。

しかし、代金の支払いで所有権が移転する契約では実際に代金を支払った時点で所有権を移転しますが、実際にモノを受け取っていない場合は上記の古物営業法第14条に言う、買い受けの「受け」を行っていないのではないかと、もしかすると疑問に思うかもしれません。

例えば、タバコ屋で売主に購入したりタバコの銘柄を告げ、売主が500円で売ると言ったので、 500円を払って買いました。

このときに既に所有権を取得していますが、タバコを受け取っていないので占有権はまだタバコ屋が持っていますので、所有権に基づく物件的請求権を行使して、タバコの引き渡しを受けます。

この引き渡しの方法については、下記の通り四つあります.

  • 現実の引き渡し(上記のタバコ屋の例です)
  • 簡易の引き渡し(先に占有権が相手にあり、その後当事者の意思表示のみによって所有権が移転することです。分かりやすい例で言うと、先に貸して、それあげるor売って等で譲る場合です)
  • 占有改定(タバコ屋から購入したが、しばらく預かってもらう場合)
  • 指図による占有移転(買ったタバコを奥さんに預けていたが、以後義父の為に預かる様にと通知して、奥さんが承諾したようなパターンです)

上記のように引き渡しといっても、必ずしも現実の引き渡しを受けていなくても、占有改定などがあるので、占有権の方も受け取る事ができるのです。

古物商許可 行政書士森永事務所

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