経営デザインシート事業プラン作成

経営デザインシート

小規模事業者持続化補助金の申請では、「経営デザインシート」の活用が効果的です。このシートを作成することで、事業計画の方向性が明確になります。

(参考:マンガでわかる「経営デザインシート」 | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト] (smrj.go.jp)

経営デザインシートは、まず自社の目的・特徴・事業概要と経営方針といった抽象的な内容から始めます。これにより、計画全体の基盤を固めることができます。

いきなり具体的な計画を書くとやり直しになる

方向性が不明確なまま具体的な施策(例:特定の広告展開)から検討を始めると、以下のような問題が生じる可能性があります:

  1. 結論に至った理由が不明確になる
  2. 計画書作成時に矛盾が生じる
  3. 本来の目的と乖離した内容になる

これらの問題は、審査不通過の原因となりかねません。

なお、経営デザインシートでは「やりたいこと」から考えることが推奨されていますが、持続化補助金の観点からは、未来からのバックキャスティング思考は適切ではありません。バックキャスティングは理想追求により現実離れした手法を導き出す傾向があり、失敗リスクが高まる可能性があります。

持続化補助金は国民の税金を原資としているため、既存の経営資源に段階的な改善を加えて成果を上げることが求められます。そのため、現状分析から段階的に論理を積み上げていくフォアキャスティング手法がより適切です。

自社の目的

「自社の目的」を定義することは、多くの企業にとって難しい課題です。しかし、この「目的」は本質的に経営理念や企業理念を指します。

経営理念や企業理念はどうやら明確な定義がないらしく、理解しづらい概念かもしれません。これを「究極の目標」と捉えると分かりやすいでしょう。ここでいう目標は、短期的なものではなく、永続的なビジョンを指します。

重要な点として、単に「お金を稼ぐ」ことは経営理念や企業理念とは言えません。それは経営方針や中期目標に近いものです。

弊所の場合

例えば、私の経営理念は「本質を見極め、人々の持続可能な至福に貢献する」というものです。一見抽象的に感じられるかもしれませんが、これは予期せぬ状況での判断基準として機能します。

この理念は、顧客に表面的な満足だけでなく、本質的な価値を提供することを意味します。例えば、違法な就労支援は短期的には喜ばれても、長期的には関係者全員を不幸にする可能性があります。これは令和6年5月に実際に起きた事件で証明されています。

経営理念は、このような危険な誘惑から身を守る指針にもなります。単に「利益を追求する」ことを理念とすると、自身や他者を不幸に導く可能性があるため、適切ではありません。

経営理念は、企業の存在意義と長期的なビジョンを表現するものであり、日々の判断や行動の基準となる重要な指針なのです。

経営方針について

経営方針については、先に述べたように数年先の目標となります。後で詳細な見直しを行うため、まずは大まかな方針(ビジョン)を示すだけで十分です。

ここでいう「大まか」とは、詳細な分析を行う前の段階で、2〜3年後にどのような企業を目指すかというイメージ(ビジョン)を指します。

この段階で大まかな方針を立てる理由は、今後の自社分析を通じて、当初の方針が実現困難だと判明し、軌道修正が必要になる可能性があるためです。

現在の資源・ビジネスモデル・価値

次に、「資源・ビジネスモデル・価値」の項目を作成しましょう。

手順としては、まず現在の資源、ビジネスモデル、価値を明確にします。そして、先ほど大まかに決めた経営方針と照らし合わせ、目指す姿への移行戦略を考えます。

ここでいう「資源」とは、人、物、金、情報、資格を指します。

つまり、貴社や提携先が持つ経営資源は何かを明確にすることです。

例えば、私の場合、個人で営む行政書士事務所なので、「人」は私と身内の補助者の2名です。一般的には正社員やアルバイトなども含まれます。

「物」は端的に言えば設備等です。

「金」は事業遂行に必要な自己資本や長期借入金などの資金を指します。

「情報」はノウハウのことです。他社にない情報を持つことで差別化が可能になるなど、競争優位につながる知識や技能を意味します。

「資格」は事業に必要な許認可を指します。例えば、私が行う許認可手続きの代理人業務には行政書士資格が不可欠です。

このように、貴社や提携先の人、物、金、情報、資格について具体的に検討してください。

ビジネスモデル

経営資源を活用してビジネスモデルをどのように構築したかを明確にします。

具体的には、経営資源を用いてどのような活動を行い、顧客をどのように獲得し、販売後にどのように関係を維持していくかを詳細に説明します。

次に、このビジネスモデルによって顧客にどのような価値を提供しているかを明確にします。

最後に、PESTLE分析を用いて外部環境を評価します。PESTLEとは以下の要因を指します:

  • Political(政治的要因)
  • Economic(経済的要因)
  • Social(社会的要因)
  • Technological(技術的要因)
  • Legal(法的要因)
  • Environmental(環境的要因)

外部環境は常に変化しています。例えば、戦争による資源価格の高騰、為替レートの変動、AIなどの新技術の登場、外国人労働者に関する新法制定などが挙げられます。これらの要因について、これまでの動向を明確にしていきます。

現在の事業課題

上記のように経営資源、ビジネスモデル、提供価値、そして外部環境を明確にすると、現在の事業課題が見えてきます。

つまり、開業時に考えたビジネスモデルが当時の環境には適していたのに、現在ではミスマッチが生じているということです。

ここで当然ながら事業の弱みが浮き彫りになりますし、もともと存在していた弱みが明らかになる場合もあります。

客観的なデータで立証

ここまでで自分や自社の現状がおおよそ把握できたと思いますので、この自己分析が正確かどうかを、公的な白書などの客観的データを用いて立証します。

これからの姿への移行戦略

立証によって状況分析が確固たるものになったら、次にどのような戦略をとるかを明確にします。

未来の外部環境を予測

まず、未来の外部環境を予測します。この際、現在入手可能なデータに基づいて平均値を算出し、増減を予測します。憶測ではなく、数値に基づいた予測を立てます。

経営方針の随時更新

そうすると、具体的な経営方針が見えてくるので、大まかに考えた経営方針(というより、ビジョン)を更新(というより、経営方針に具体化)していきます。

ここで注意すべきは、全ての経営方針を記載することです。持続化補助金の経営計画では、補助金申請の計画以外にも、全ての計画を記載する必要があるためです。

ハードルと必要な資源、解決方法

経営方針を更新したら、それを実現するためのハードルを特定し、それを乗り越えるために必要な資源と、その資源を用いた解決方法を明確にします。

機械設備が必要な場合は見積もりを取るなど、明確な根拠を用意します。

見積もりの結果、予算に合わない場合は代替案を検討する必要があります。

このようにシミュレーションを重ねた結果、計画が確定します。

将来の姿として、どのような経営資源とビジネスモデルでどのような価値を提供するのかを明確にし、その結果として予想される売上高を算出します。

最後に、この計画を実現するために補助金が必要である理由を説明します。


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