補助金・助成金・給付金・支援金の違い

補助金の選び方でお困りの方からお問い合わせをいただくことが多いですが、お客様の話を聞いていると「助成金」の事を補助金と呼んでいたり、「給付金・支援金」の事を補助金と呼ばれていたりと、これらで混乱が見られることがあります。
厚生労働省の助成金に関しては、社会保険労務士の独占業務になりますので行政書士はお手伝いすることはできません。
そうしますと、何も出来ずに心苦しいので、訪問前にはお電話などで時間をかけてご説明し、何でお困りかを事前に確認させていただいております。
この記事ではそんなややこしい補助金・助成金・給付金・支援金の違いについて解説させていただいております。
補助金・助成金と給付金・支援金が大きく違う
早速ですが、補助金・助成金・給付金・支援金は国から支援してもらえるお金の事です。
お金関係で言うと、日本政策国庫の融資もありますが、これは借金なので説明はここでは関係ありません。
違いを一覧にしたのでまずは下記をご覧いただきたいと思います。
種類 | 給付金・支援金 | 補助金 | 助成金 |
---|---|---|---|
目的 | 緊急時の救済措置 | 設備導入産業の活性化 | 雇用や労働環境の改善 |
対象 | 法人、個人事業主、一般人 | 法人、個人事業主 | 法人、個人事業主 |
主な管轄 | 国・地方自治体など | 経済産業省 | 厚生労働省 |
要件・審査 | 優しい | 難しい | やや難しい |
支給時期 | 随時 | 後払い | 後払い |
給付金・支援金の要件・審査について
給付金・支援金とは最近で言うと、 2020年のコロナウイルスが流行した時に安倍内閣が実施した「持続化給付金」、 2022年の岸田内閣が実施した「事業復活支援金」の事です。
これら給付金・支援金の要件と審査は補助金や助成金と比べて緩いものとなっています。
具体的にはコロナの影響で売り上げが下がった月がコロナが流行する以前の月と比べて一定の割合下がっていた時、事業を継続しており、今後事業も継続する意思がある、確定申告をしており書類が保存されている等の簡単な要件でほとんどの場合で審査が通ります。
私も事業復活支援金の「登録確認機関」をしておりましたので実体験としてそういう印象を持っています。
助成金の要件・審査について
助成金に関しては社会保険労務士の独占業務となっておりますので、社会保険労務士の先生にお問い合わせいただきたいのですが、要点だけ説明させていただきますと補助金と似た制度です。
ただし、経済産業省と厚生労働省とで管轄が違います。また申請書の作成に関しては、社会保険労務士の場合は顧問契約をしていることが多く、士業側がすでに依頼者の業務を把握している事もあり、申請書作成自体も補助金に比べてスムーズなことが多いです。
補助金の要件・審査について
それと比較し、補助金の場合は依頼者と受任者が新規の関係性の事が多く、その中で経営計画書を用意し、金額の高い補助金の場合は書類審査以外にプレゼンテーションによる二次審査があったりと、やはり給付金・支援金・助成金と比較して難しいと言われています。
お金の使用用途の違い
さて、そうした要件審査以外に注目すると貰ったお金を使える用途についても大きな違いがあります。
使える用途が違う理由については支給される目的が各々異なるためです。
上の表で言うと給付金・支援金の場合はコロナウイルス感染症と言う災害によってやむを得ず売り上げが下がってしまった事業者の救済になります。
それに比べて補助金と助成金は救済という側面ではなく、国からの投資という面が強いです。
投資といっても返済義務はありません。補助金助成金によって事業者が売上が上がるなどして市場が活性化すると税収が増えますので、そこで回収するという意味なので補助金と助成金を受けた者が直接返金する必要はありません。
但し、補助金により直接生じた収益が一定以上ある場合については返納が求められる事があります。これを収益納付と呼びますが、税金が事業者の直接利益になるのは問題という考えが背景にある制度です。
補助金で機械を買ってその機械によって製造して売り上げを得た場合は収益納付を求められる可能性があります。
それに対して、チラシを撒く、ホームページを開設するなどして集客が増えた結果売上が増えたような場合は収益納付の対象にはなりません。
前者の後者の違いは直接的な利益かどうかです。補助金で購入した機械によってものを作って売った場合は補助金によって売上が立ったことは明らかです、しかし後者の場合はチラシを撒いたりホームページを開設したことが売上に繋がったと必ずしも言いることが出来ず、その他にも様々な要因があるかもしれませんので収益納付には該当しません。
このように直接的な収益が一定の基準以上あった場合は返還を求められます。
支払い時期の違い
最後は支払時期の違いについてです。
給付金・支援金の場合は審査が通るとまずお金が振り込まれます。今回の持続化給付金・事業復活支援金の採択についても銀行に振り込まれてから気づいた人も多いのではないでしょうか。
それに対して、補助金と助成金の場合は基本的に後払いです。例外的に先に概算で支給が認められる場合もあります。
補助金の場合は審査が通り、採択された後に定められた期間の間(補助期間)に申請した計画に沿って自己資金を使いモノやサービスを購入します。補助期間終了後に事後報告することでようやく補助金が振り込まれることになります。
前項の「用途」のところでも軽く触れましたが、補助金の場合はその補助金の目的に応じた使い方をしないと補助金の給付が認められない場合があります。そうすると、全額自己負担になりますので経営を圧迫することになりかねません。
まとめ
以上のように、補助金・助成金と給付金・支援金は全く別物であり、支払い持期の違い、支払用途によっては給付を受けられなくなるなど注意しないといけない点が多くありますので専門家と相談しながら申請を行うのが良いと思います。
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