内々定から内定・採用(入社)までの流れと各段階の法的効力


日本の「内々定」から「採用(入社)」までの流れと各段階の法的効力

1. 内々定(ないないてい)

  • 最終面接後、企業が「採用予定」として、正式な内定前に学生に意思表示を行う段階です。多くの場合、電話やメールで伝えられます。
  • 目的は、優秀な人材を早期に囲い込むことにあります。
  • この時点では労働契約は成立しておらず、法的拘束力はありません。学生も企業も自由に辞退・取り消しが可能です。
  • ただし、企業側の対応が極めて不誠実であった場合や、内々定の内容が内定と同視できるほど拘束力を持つと判断される場合は、不法行為として損害賠償が認められる可能性があります。

2. 内々定承諾書の提出(任意)

  • 企業によっては「内々定承諾書」の提出を求めることがありますが、これはあくまで意思確認のためであり、法的効力はありません。

3. 内定(ないてい)

  • 経団連の指針により、多くの企業は10月1日以降に正式な内定通知を出します。
  • 学生が「内定承諾書」を提出し、企業と学生の間で入社の意思が確認されると、「始期付解約権留保付労働契約」が成立します。
  • この時点で、法的拘束力が発生します。企業は正当な理由がなければ内定を取り消せません。不当な取り消しは損害賠償の対象となる場合があります。

4. 内定式・内定者フォロー

  • 多くの企業で10月に「内定式」が行われ、内定者同士や社員との交流、会社説明、書類手続きなどが行われます。
  • この時期から入社まで、研修や課題提出、ビザ変更手続き(留学生の場合)などの準備が進みます。

5. 雇用契約書・労働条件通知書の締結

  • 内定後、雇用契約書や労働条件通知書が交わされ、雇用条件が明確化されます。
  • ここでも労働契約の内容が具体的に定められ、労働基準法等の法的保護が適用されます。

6. 入社(採用)

  • 入社日に出社し、正式に雇用が開始されます。

法的効力まとめ

段階 法的効力 企業・学生の権利義務
内々定 なし(原則自由に取り消し・辞退可能) 双方に法的拘束力なし
内定 労働契約成立(始期付解約権留保付) 双方に法的拘束力あり
雇用契約書 労働契約内容の明確化 労働基準法等の適用
入社 雇用開始 労働者としての権利義務発生

ポイント

  • 内々定は「採用予定の意思表示」に過ぎず、法的拘束力はないが、例外的に損害賠償が認められる場合もある。
  • 内定は「始期付解約権留保付労働契約」として法的効力が発生し、企業も学生も一方的な取り消しは制限される。
  • 入社日をもって正式な雇用関係がスタートする。

この流れと法的効力を理解して、各段階での対応を慎重に行うことが重要です。


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