行政書士の第三者介在と職務基本規則上の留意点


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ブローカー関与と不正取得・倫理違反のおそれ

第三者がブローカーである場合、営利目的在留資格等不正取得助長罪(出入国管理及び難民認定法74条の6)が成立しうる。
同時に、行政書士の責務(行政書士法10条およびこれを具体化する行政書士職務基本規則1条)に反し、行政書士としての品位を損なう事業への参加禁止(同規則5条)、違法行為の助長等の禁止(同規則14条)、不正の疑いがある事件の受任拒否義務(同規則31条)、不当誘致行為の禁止(同規則15条)に違反する結果となるおそれがある。
さらに、申請取次行政書士については、第三者を介して依頼を受けた申請取次を禁止する規定が行政書士職務基本規則61条3項に置かれており、この規定にも抵触しうる。

第三者介在による意思齟齬と虚偽申請リスク

第三者が介在すると、事件の処理方法について第三者・依頼者・受任行政書士の間で齟齬が生じやすく、依頼者の真意に反した申請や申請内容への虚偽の混入といった不正が生じる危険が高まる。
これは、依頼者の意思の尊重義務(行政書士職務基本規則27条)、説明および助言義務(同規則28条)、受任の趣旨の明確化義務(同規則33条)に反するだけでなく、法令又は事件の趣旨に反する書類作成の禁止(同規則42条1項)や、申請取次行政書士による虚偽資料・虚偽説明の禁止(同規則61条1項・2項)にも違反しうる。

秘密保持義務と第三者介在の問題

依頼者の秘密を守る義務は、行政書士法12条および行政書士職務基本規則11条に定められており、行政書士でなくなった後も存続し、補助者・事務職員等に対しても同様の秘密保持を徹底させる義務が課されている。
また、行政書士又は行政書士法人の使用人その他の従業者には行政書士法19条の3(行政書士の使用人等の秘密を守る義務)が適用されるところ、第三者を経由した依頼・情報伝達のスキームでは、これらの守秘義務規定(職務基本規則11条・71条および行政書士法12条・19条の3)が適切に履行されないおそれが高い。

報酬支払経路とキックバック等の不正リスク

報酬が第三者を介して支払われる場合、依頼者との直接の委任契約に基づく報酬がそのまま支払われない、いわゆるキックバックや不透明な手数料の授受等の紛争・不正が生じる危険がある。
これは、適正な報酬の明示・説明義務(行政書士職務基本規則34条)、報酬や受任内容を明確にした契約書の交付義務(同規則35条)、報酬額の掲示義務(同規則24条)、および紹介料やバックマージン等を含む不当誘致行為の禁止(同規則15条1~4項)に抵触しうるものであり、懲戒の対象となるリスクも高い。

使用人行政書士等と「第三者」評価のリスク

使用者たる行政書士又は行政書士法人が、使用人その他の従業者である行政書士に出入国在留管理局等への申請取次業務を行わせる場合、実質的な指揮命令・監督が確立していなければ、当該使用人行政書士が「第三者」と評価され、上記各見出しで述べた不正が生じうるおそれがある。
この点については、名義貸しの禁止(行政書士職務基本規則7条)、補助者・事務職員等に対する指導監督義務(同規則18条)、行政書士法人における社員の遵守確保義務(同規則70条)および法人の秘密保持(同規則71条)に加え、申請取次行政書士についての特則として、制度への適正な寄与義務(同規則59条)、特別倫理研修の受講義務(同規則60条)、申請人又は入管法上の代理人からの直接依頼を前提とし第三者介在を禁止する規定(同規則61条3項)が設けられており、使用者行政書士が届出済証明書を有した上で適切に指揮命令を行い、使用人行政書士が本人確認・意思確認・事実関係の確認を自ら行い、依頼者がこの体制を承諾していることが不可欠となる。

主要条文要旨(巻末)

  • 出入国管理及び難民認定法74条の6(営利目的在留資格等不正取得助長罪)
    営利目的で、虚偽書類の作成やあっせんなどにより在留資格等を不正に取得させる行為を処罰する規定であり、在留資格の不正取得を助長するブローカー行為等が対象となる。

  • 行政書士法10条(行政書士の責務)
    行政書士に対し、誠実かつ公正に業務を行い、依頼者の権利利益の実現と公正な行政の運営に資するように努める責務を定める一般条項であり、職務基本規則1条で具体化されている。

  • 行政書士法12条(秘密を守る義務)
    行政書士が業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らしてはならない旨を定め、行政書士をやめた後もこの義務は継続するとしている。

  • 行政書士法19条の3(行政書士の使用人等の秘密を守る義務)
    行政書士事務所等の使用人その他の従業者に対しても、行政書士と同様に業務上知り得た秘密を守る義務を課し、退職後も義務が継続することを定めている。

  • 行政書士職務基本規則1条・5条・7条
    1条は行政書士の責務や信用・品位を害する行為の禁止を定め、5条は品位を損なう事業への参加を禁止し、7条は名義貸しその他自己の名義を不正に利用させる行為を禁止している。

  • 行政書士職務基本規則11条・14条・15条
    11条は守秘義務と事務所内での秘密管理の徹底を規定し、14条は違法行為の助長等の禁止を定め、15条は紹介料やキックバックなど不当な方法による依頼誘致行為を禁止している。

  • 行政書士職務基本規則18条・24条・27条・28条・31条・33条・34条・35条・42条
    18条は補助者等に対する指導監督義務、24条は報酬額の掲示義務、27条は依頼者の意思尊重義務、28条は説明・助言義務、31条は不正の疑いがある事件の受任拒否、33条は受任の趣旨の明確化、34条・35条は報酬・契約内容の明示と書面交付、42条は法令・事件の趣旨に反する書類作成の禁止を定めている。

  • 行政書士職務基本規則59条・60条・61条・70条・71条
    59条は申請取次行政書士が制度の趣旨に沿って適正に業務を行う義務、60条は特別研修受講等の義務、61条は虚偽資料提出・虚偽説明の禁止および第三者を介した依頼受任の禁止、70条は行政書士法人における社員の遵守確保義務、71条は行政書士法人としての秘密保持義務を定めている。


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