広告宣伝メール送信ルール


今日は たった1通のメールが 会社にとって3000万円レベルの法的リスクになり得る という話を 受信箱の裏側にあるルールを手がかりに 一気につなげて解説します 結論から言うと 広告や宣伝目的のメールは 基本的に 事前に同意を取っていない相手には送れません ここを軽く見た瞬間に 違反の可能性が立ち上がります

まず 前提として このルールが対象にしているのは パソコンのメールだけじゃありません スマホに届くSMS ショートメッセージ これも対象です さらに 海外のサーバーを経由して日本に届く広告メールも 逃げ道にはなりません 日常的に使っている連絡手段そのものが 規制の射程に入っている ここが第一のポイントです

次に核となる考え方が オプトインです これは 要するに 送っていいですか と相手が先にイエスと言っている状態 その相手にだけ広告宣伝メールを送ってよい という大原則です 紙のチラシみたいに とりあえず配って反応を見る という発想が メールでは通用しない 同意がない限り 送信自体が禁止 これが出発点です

ただし ここからが実務で混乱しやすいところで 例外があります たとえば すでに取引関係がある相手 名刺交換など 書面で自分のメールアドレスを渡している相手 インターネット上で営業目的として自分のアドレスを公開している相手 ただし 送信拒否の記載がない場合に限る こういうケースでは 事前の明示的な同意がなくても 送れる場面がある この例外がある理由は ビジネスの現場で いちいち最初に許可取りのメールから始めていたら 仕事が回らないからです

でも ここで 多くの人が見落とす第二の地雷が出てきます じゃあ 送信側は どうやって同意を取ったと証明するのか 言った言わないになったら 何で守るのか そこで登場するのが 記録の保存義務です 送信者は いつ どのような方法で どんな経緯で同意を得たのか その状況を示す記録を きちんと残さないといけない 書面で取ったのか メールで取ったのか ウェブのフォームなのか ルートごとに残すべき項目が決められている つまり 送っていいという状態を作るだけでは足りない それを証明できる形で残すところまでがセットです

ここで さらに話がややこしくなるのが 保存期間です 特定電子メール法の世界では 基本的に 最後に広告宣伝メールを送った日から1か月保存すればよい とされている ところが 通信販売の広告など 特定商取引法の領域が絡むと 一気に変わります 請求や承諾の記録を 3年間保存しなければならないケースが出てくる 1か月と3年 この差は直感に反しますが 理由はシンプルで お金が動く取引のトラブルは 後から蒸し返されやすく 被害も大きいから 確定申告の領収書を数年保管する感覚に近いと思ってください 扱う内容が重いほど 証拠保全も重くなる

次は メールの中身の設計です 実は 私たちが受け取る広告メールには 法律上 必ず入れなければならない表示がある 送信者の氏名または名称 住所 販売業者と送信者が違うなら 販売業者の名前 そして最重要なのが 受信拒否 つまりオプトアウトできることと その通知先です ここは ただリンクを置けばいい という話ではありません 受信者が容易に認識できる場所に置くこと リンク先でも 明確かつ平易に 容易に受信拒否できるようにしておくこと 小さすぎる文字で読めない とか 解除にログインを要求して面倒にする こういう引き止めの作りは ルールの趣旨に反します 受信者には もう要らないと判断したらすぐ止められる権利がある という設計思想です

さらに 見逃せないのが 偽装の禁止です 送信元のアドレス IPアドレス ドメイン名を偽って送る行為は 明確に禁止されている 公式っぽく見せかけて騙す その入口を法律で強く塞いでいるわけです

そして 一度でも受信拒否の通知を受けたら その後の広告宣伝メールの送信はできません 例外なしのストップです ここも実務では重要で 拒否された事実そのものも 後で争いにならないように 記録として残しておくべき という発想になります

ここまで聞いて だんだん分かってきたと思います 同意を取る 同意を取った証拠を残す メールの表示を整える 解除を簡単にする 拒否が来たら二度と送らない 偽装はしない 全部できて 初めて安全に広告メールが送れる どれか一つでも欠けると そこが弱点になる

では 3000万円の話です 罰則は いわゆる注意で終わり ではありません たとえば送信者情報を偽って送信した場合 1年以下の懲役 または100万円以下の罰金 というレベルが出てくる さらに それが法人の業務として行われた場合 行為者だけでなく 法人に対して 3000万円以下の罰金が科され得る 中小企業なら 1発で資金繰りや信用に致命傷になりかねない つまり このテーマは マーケ担当だけの話じゃなくて 会社の存続リスクの話です

特定商取引法が絡む領域でも 同意なし送信や表示義務違反で 1年以下の懲役 または200万円以下の罰金 といった重いラインが出てくる上に 業務停止命令など行政処分の対象にもなり得る ここまで来ると もう 法務 コンプライアンス 経営のど真ん中の問題です

もう一つ テクノロジーに絡む論点も押さえます 実在しないメールアドレスをプログラムで自動生成して 手当たり次第に送る手口 いわゆる辞書攻撃のような行為 これも明確に禁止されていて 命令対象になる スパム業者の手口そのものを先回りして塞ぐ という考え方が法律の中に入っている ということです

ここで 疑問が出るはずです なぜ メール1通に 2つの法律や役所が交差するのか ポイントは 目的が違うからです 特定電子メール法は 通信インフラを守る視点が強い 大量の迷惑メールがネットワークに負荷をかけると 本当に必要な通信が止まる だから送信の仕組み側を規制する 一方で 特定商取引法は 消費者保護と取引の公正さ お金が動く取引で 悪質な広告から消費者を守るために 販売業者側を規制する 同じメールでも 通信販売の広告なら インフラ保護のルールと 消費者保護のルールの両方がかぶる 交通の渋滞を取り締まる視点と そこで起きる商取引の詐欺を取り締まる視点が 合体しているイメージです

じゃあ実務として どう守るか 送る側の人は まず 同意の取り方を設計して 証拠を自動で残す仕組みにする 次に メール本文の必須表示をテンプレ化して 抜け漏れが起きないようにする 受信拒否は 分かりやすく 一手でできる導線にする 拒否が来たら 二度と送らないためのリスト管理をする そして拒否の記録も残す ここまでを 施策のスピードより優先順位高く整えることが 結局いちばん安い

受け取る側の人は 広告メールを開いたときに 送信者情報 解除の案内 解除のしやすさ ここを見る癖をつける 怪しいと感じたら 泣き寝入りしなくていい 迷惑メールの相談窓口が用意されていて 情報提供ができる仕組みもある 個々人の通報や提供が 集計と分析につながって 悪質業者への行政対応の材料にもなり得る

最後に ひとつだけ 未来の話をします AIが個人の趣味や行動履歴を学習して あなた専用の魅力的な広告文を自動生成する時代は もう目の前です そのとき 今日のキーワードだった 事前同意 オプトイン という枠組みが どこまで今の形で機能し続けるのか ぜひ 自分の受信箱を見ながら このメールは なぜ今 自分に届いたのか 自分はいつ同意したのか という視点で考えてみてください それが 情報の時代に 自分の時間と権利を守る いちばん現実的な自己防衛になります。


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